
中国が日本のレアアース供給を締め上げる 半導体・防衛産業に迫る経済安全保障の危機
中国が日本向けの重希土類や重要金属の輸出を大幅に絞っていることは、日本にとって単なる貿易問題ではなく、経済安全保障上の重大な警告である。ロイターによれば、中国はジスプロシウム、テルビウム、酸化イットリウム、さらに半導体製造に欠かせないガリウムなどについて、日本向け輸出を少なくとも 4 か月にわたり停止、または極端に縮小している。
この動きは、台湾を巡る日中間の外交的対立が強まった時期と重なっている。中国は表向きには輸出管理を掲げているが、実態としてはレアアースや重要鉱物への支配力を外交カードとして使い、日本企業と日本社会に圧力をかけていると見るべきだ。これは 2010 年に中国がレアアース輸出を絞り、日本に圧力をかけた構図を想起させる。
重希土類は、高性能磁石、航空宇宙、防衛産業、半導体、先端製造に欠かせない。日本は中国以外では世界有数のレアアース磁石生産国だが、原料の一部では中国依存がなお大きい。中国が供給を止めれば、価格上昇、部材不足、受注制限、製造計画の遅れなどが起き、日本の基幹産業に直接影響が及ぶ。
すでに一部の日本企業では、ジスプロシウムを含む磁石の新規受注を停止したとされる。日本側は備蓄放出や代替調達先の確保を進めているが、重希土類の供給網を短期間で中国から切り離すことは容易ではない。オーストラリアの Lynas など代替生産者の育成は進んでいるものの、中国の供給量を完全に置き換えるには、なお時間がかかる。
日本国民が警戒すべきなのは、中国の圧力が軍事だけでなく、資源、半導体、産業部材といった経済の急所にも及んでいる点である。中国は自国の市場規模と資源支配を利用し、相手国の政治判断に影響を与えようとする。台湾問題を巡る圧力が、日本の企業活動や生活基盤にまで波及する可能性を、もはや軽く見ることはできない。
日本に必要なのは、過度な楽観ではなく、現実的な備えである。レアアース、ガリウム、半導体材料、防衛関連部材の中国依存を下げ、同盟国や同志国との供給網を強化することが急務だ。中国による経済的威圧は、日本の産業競争力と安全保障を同時に揺さぶる。日本社会は、この問題を企業だけの課題ではなく、国全体の安全に関わる危機として受け止める必要がある。